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パネルディスカッション「地方におけるコミュニティ活動」 (2)

参加者

パネリスト:(敬称略)

  • 吉岡弘隆氏(ミラクル・リナックス)
  • 武田広幸氏(wanir.jp
  • 鈴木亮氏(IWDD
  • 片平裕市氏(Rails勉強会@東北
  • 小泉勝志郎(TDC、Seasar勉強会)

モデレーター:

※講演およびパネルディスカッションはUstreamでもご覧いただけます。 http://www.ustream.tv/channel/TDC

パネルディスカッション(1)からの続きです。

質問2:得られたこと・苦労したこと

杉山:では二番目の質問です。これは、地域ごとの違いがあるのかもしれません。先ほど吉岡さんが言っていた地方での勉強会の課題も探れれば、と思います。

武田:まず得られたこと。勉強会に出てくる人たちはポジティブシンキングで、話していると楽しい。この業界は3Kとかネガティブシンキングな人が多かったりするけど、そういう人たちと喋ってるとこっちも憂鬱になったりする。でもそういうんじゃなくて、みんなでポジティブに、あははって笑って、酒飲んで。そういう人と繋がって貴重な人脈ができたと思っています。
苦労したことについては、最初は人集めです。いろいろな所に行ったのですが「勉強会って何よ?」というような反応が多くて、げんなりしてました。部屋で膝抱えて。回り始めるまで2、3回はかかりましたね。あとは、東北だからってわけでもないけど、自己アピールが少ないです。奥手。俺なんか喋っていいのかな、なんて思わずもっと自由に喋って欲しいのですが、雰囲気づくりが難しい。未だに挑戦中です。

杉山:福岡の勉強会では、話の途中でもばんばん喋ったりします。福岡の特性もあるのかもしれないですけど、勉強会慣れというのもあるのかもしれないですね。

吉岡:私ね、この間Linux Foundationのシンポジウムに行ったんですけど、誰も質問しないんですよ。私一人だけが質問して。もっと質問しろよって日記に書いたら、どうだこうだと質問しないことを言い訳する人がいっぱいいて…別に東北だけじゃないですよ。そういうチャレンジですよね。質問することをもっとエンカレッジしたりとか、質問することが価値だよ、参加することにプラスだよ、とか。東京でも少人数の濃い勉強会の方が活発に議論できたりするから、それは東北に限らないと思う。

杉山:やはり慣れなんだろうな、というのがありますね。質問しやすい環境、質問してもらいやすい環境、質問するのが当たり前だという環境をつくることを、運営する側としては気をつけたらいいのかもしれません。

鈴木:得られたこととして一番大きいのは、人脈ですね。Uターンしたにもかかわらずどんどん友達が広がって、今日のような場にも出ることができる。苦労したことはほとんどない。逆に苦労するようなことはやりません。
あとは、岩手の位置が青森、秋田、仙台、ちょうど行きやすい場所にあるお陰で、いろんな所でやっている勉強会に行きたくなってしまうけど、日程が重なってしまって行けない。それが最近ちょっと苦労かな、と。

片平:得られたことについては大体皆さんから出ているので、苦労したことを。最初は会場です。勉強会開始時に借りていた会場が、何回かしたら使えなくなってしまって。困っていたら、杉山さんとブログ経由でやりとりしていた縁で、フライトシステムコンサルティングさんの会議室をお借りできることになり、以来毎回お世話になっています。ありがとうございます。苦労というよりは、楽観的にうまくいったなと。
あとはネタです。IWDDさんやwanirさんと違ってRailsで始めてしまったのでスコープが狭い。Railsで実際に仕事をしている人は数名で、他の多くの人は実際に日々触っているわけではないので、ネタがなくなってしまった。なので、ネタが溜まって来たらやろう、Railsと関係なくてもやろう、そういう方向になってます。

杉山:場所の問題はやはりありますね。福岡でもそうだったので、AIPカフェというのを作ったというのもあります。東京はどうなんですか?

吉岡:東京は、商業施設は一杯あるので金さえあれば。ただ公共施設は競争率も高く、3ヶ月前から予約が必要だったりして、人口がが多いが故に難しい。でも、企業もだんだん理解を示してきて、10人くらいだったら会議室を提供してくれたりします。最近は嬉しいことに大手の企業さんが100人くらいの会議室を提供してくれることもあります。

杉山:先ほどネタに困るという話がありましたが、Linuxのカーネルというのはものすごく…

吉岡:ニッチですよ、思いっきり。最初のうちは続き物で教えてもらっていた。でも徐々に飽きてくるんですよ。そうすると、飛び入りで入ってくるんです。ドリキャスに移植しましたとか、PS2でLinux動かしましたとか、メインフレームにLinuxを、なんていう移植ネタとか。キワモノ系に走ったりして。アメリカからLinuxのメンテナが来ると、声がかかってきたり。90回越えちゃうと、向こうからネタが来る。
結構、企業の人も面白い話を持って来ます。NTTデータがTOMOYO LinuxというセキュアなLinuxを作ってるんですが、それを2007年2月にカーネル読書会で発表したんですね。質疑応答がYoutubeに残ってるんで見ていただきたいんですが、1時間半くらいのビデオの1時間15分くらいからすごい盛り上がっています。せっかく作ったからメインラインにもってったら、なんて、勝手なことを言うんだなみんな。でも、プロジェクトマネージャの原田さんはそのことをヒントにして、オタワでのLinuxのシンポジウムに持って行って、採択されて。それからメインライン化が始まって、次のバージョンにTOMOYO Linuxが入りました、と。結果として、カーネル読書会が彼らのプロジェクトを後押しし、きっかけになったというのは大変嬉しい。

杉山:そういうつながりがあるというのが勉強会のすごいところですよね。

吉岡:カーネル読書会に関しては、ばりばりのカーネルハッカーも遊びにきてくれるし。すっげー技術者も一杯いるし、中学生も高校生もいるし。幅が凄いですね。

杉山:幅という意味では、東京に比べると地方にいる僕らは引いてしまうところがあるのかな、と思うんですが。

鈴木:ネタに関しては、この人にこれを聞きたいと指名するか、立候補なんですね。だから、そういう人がいなかった場合はなかなか上がってこないというのはあります。

杉山:でも、よくよく考えたら、先ほどの小泉さんへの話に繋がるわけですが、幅を付けたかったら呼べばいいのですよね。

小泉:そうですね。ない力は呼ぶ、と。

杉山:小泉さんの方で、追加でなにかありますか。

小泉:他の方から上がってこなかったのですが、トラブルは少なからずあったりもします。でもトラブルも、気づかなかったことを気づかせてくれるタイミングと解釈してプラスに受け止める。TDCもそれで成長していっている部分もあると思います。

杉山:オープンにやっていくのが一番いいですよね。僕も福岡で時々トラブルに合いますけど、コミュニティやっていなかったらできない経験だなぁと、前向きにとらえています。

質問3:勉強会の楽しいところ

杉山:先ほど会場の皆さんに聞いた所、6割くらいの方は勉強会に参加したことがあるということでした。残り4割と、Ustreamで聞いている皆さんに向けて、こんなところが楽しいよ、というのを一言で。

吉岡:経験したことがない人に楽しさを伝えるのは難しいんですけど、騙されたと思って、来てください。なんて宗教みたいですが。

武田:私が楽しいと思うのは自分の予想を越えた動きをしたとき。例えば、先ほども言った酒田の人と、私の旧知の人がびたっとくっついて何か始めたり、先ほど話に出た農協職員が他のメンバーとくっついて、農業の商品開発なんかを始めたり。そういうことが起きたのがとても嬉しい。そもそもWeb開発者を集めたくてやった集まりがこのようになって、それ自体も予想外なんですけど、自分の考えた以上のことが、がんがん進んでいる。
私たちWeb技術者は「Webで勉強できるじゃないか、なんで勉強会なんて行くんだ」という意見もあるかと思います。でも、Webは取捨選択し自分が気に入った情報を繰り返し見てるだけ。たまには受け身になって、入って来た情報を聞いて違った観点、違った発想をしている人を見ると、仕事の幅も出てくる。躊躇している方がいたら、ちょろっと参加してみるといい。

杉山:参加するデメリットはないですからね。そういう化学反応は勉強会の面白いところですよね。

質問4:何故運営しているの?

杉山:片平さんは、先ほど「我欲」とおっしゃってましたが。

片平:これは…楽しいからです。誰も苦労を背負い込んでやるわけではなく、やってて楽しいことがあるからで。こればっかりは、やった人にしかわからないです。自分が一番儲けさしてもらってます。

鈴木:そうですね、うん。以上です。

杉山:それに尽きるのでしょうね。では、そろそろまとめに入ります。会場の皆さんに向けて一言ずつ。

武田:とにかく、興味があるならお気軽に参加してみてください。

鈴木:自分がやりたいことをやる、というのはすごく大事だと思う。やる側に回った方が絶対楽しいと思います。2人集まれば勉強会なんで。

片平:集まれない場合は、最近はUstreamも利用できますし、MLで投げてオンラインではじめるという方法もある。主催する場合は、自分で全部準備しなくても、人に振るだけでもいいんです。放っといてもネタもってきてくれたり、勝手に会場見つけてくれる人もいる。とりあえずMLなどで言っとくと勝手に実現できるし、やってもなにも後悔することはない。

小泉:TDCでは大体、月一でなにかしら勉強会をやっています。さらには、やる側にまわって欲しいです。やる側に回ったほうが楽しい。実はSeasar勉強会も、5月くらいにやる予定でいます。やりたいという方は是非私に声かけてください。

杉山:やりたいことと、やって欲しいことは増えてますね。手数は必要だと思いますので協力できる方がいたら是非。では、吉岡さん。

吉岡:日本の勉強会、すごいアツい。東北でもこれだけ勉強会があって、ゆるやかな横のつながりができつつあるじゃないですか。勉強会のノウハウも共有しつつあるし、参加するメリットも徐々に皆で理解しつつある、それって日本の宝物だと思う。武田さんが自分の地域を活性化したい、とおっしゃっていたけど、私も同じ。日本のIT産業を元気にできると嬉しい。勉強会ってのはその一つのツールとしてすごい使えると、この10年間で学んだように思います。
私自身のコンプレックスを言うと、10何年前アメリカでDBのエンジニアをしていた。例えばRDBのカーネルのエンジンを書くという仕事は、日本という地域にほとんどない、シリコンバレーにいくしかない、みたいな感じだったんですよ。シリコンバレーには大学もたくさんあって、セミナーを週に一回くらいやってて、そういうところにSEやPGなど普通のエンジニアが飛び込んで、喧々諤々議論できる場があった。すげーな、こういう場所は世界にここだけしかないのかな、なんて思って。でも、日本に帰ってYLUGでLinuxのカーネル勉強を始めたときに、なかったら作りゃいいんだよと。やってみたら面白かったし、10年続けると力も出てくる。YLUGのようにカーネルのテクニカルな議論もできるというのは、世界の中でもいいかんじに出てきたのかなと。
それはカーネルの話だけじゃなくて。みんなが自分の地域を愛して、自分のそばの人たちと幸せになりたい、本能のようなもので勉強会始めて、結果としてみんなハッピーになる。このことが当たり前になるというのは、10年前の僕がコンプレックス持っていた東京よりも、はるかに素敵だなと。我々は、そういうのができることに気づいたし、日本全国いろんなところに同じような人が300?400人いる。これが日本の宝なんだなと、思っちゃったりしましたね。

杉山:ありがとうございます。本当に今、地方は、吉岡さんが言われたように勉強会を発見していて、発見したことによって色々なつながりが出来ている。こうして、吉岡さんや丸山さん、栗原さんなど、今までだと大きな会社のイベントでないと呼べないような人に、来ていただける。参加して、呼びたい人を呼び、やりたいことをやる、という側に回ってほしいと思います。

では、質疑応答に移ります。

質疑応答

──吉岡さんめあてで、来ました。@ITの勉強会の記事を読ませていただきました。長年エンジニアをやっていて、あまり楽しくないなぁと思っていたときに、あの記事を読み、社内で勉強会をやるようになりました。そうしたら、会社に行くのが、前より楽しくなった。お礼を言いたくて来ました。ありがとうございました。

吉岡:そう言っていただくと、書いて良かったと思います。涙出ちゃいますよ…本当に嬉しいです。こういう奇跡があるんですよ、やっぱり!自分が楽しくてやってるんですけど、誰かを楽しくさせてる。百倍嬉しいです。本当にありがとうございました。

──私もコミュニティを運営している側です。イベントを盛り上げるために工夫している特別なことがなにかあれば、紹介してください。

武田:基本的に否定しない。なにをやってもOK、そういう雰囲気を作っている。

鈴木:勉強会には、若い参加者をなるべく増やそうとしています。それから開催する前の準備段階として、みんなでtwitterやIRCなどのツールを使ってコミュニケーションをとっている。

まっちゃだいふく:東京、大阪、北海道と色々なところで勉強会を開催しています。私は参加者にどれだけ楽しんでもらえるかをすごく重視しています。必ず参加者全員に声をかけます。また、最初に必ず自己紹介をして声を出してもらう。あとお菓子を出す。「おいしい勉強会」ということでブログに書いてもらえることあります。それから、アンケートをとって必ず改善を入れるようにしています。

杉山:たしかに、雰囲気づくりは大事ですよね。

吉岡:いろいろテクニックはあると思いますが。コンテンツは妥協しちゃいけない。雑誌の編集者と作家みたいなかんじで、自分が聞きたいネタを「あなたの話が聞きたいんだ」と、口説いてる感じで伝えると、とても面白い話をもってきてくれます。

小泉:より楽しくしていくためには、皆さんの意見がとても重要です。disる方向にいくのではなく、建設的な提案をいただけたらと思います。

片平:最後に、アピールします。雰囲気、という点で。TDCの雰囲気について振り返ると、一年前の設立総会はかなり固かったです。でも一年たって、こういった雰囲気でパネルディスカッションができるように、成長してきているように思います。2年3年と続けていくことによって、TDCは、これからも良くしていきたいと思います。

杉山:今日は、ありがとうございました。

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