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パネルディスカッション?東北からもムーブメントを起そう!?

東北デベロッパーズコミュニティ設立総会で行われたパネルディスカッションの内容をご紹介します。

参加者

パネリスト:(敬称略)

パネルディスカッション
  • RBC長崎会長 考える有限会社 社長 三海隆宏
  • Seasarプロジェクト 電通国際情報サービス ひがやすを
  • JJUG会長 稚内北星大学 教授 丸山不二夫
  • 経済産業省 商務情報政策局 情報化人材室室長 夏目建夫
  • 東北テクノロジーセンター運営委員長 株式会社サイエンティア 社長 荒井秀和
  • Rails勉強会@東北 片平堂 片平裕市

モデレーター:

  • TDC運営委員 フライトシステムコンサルティング 杉山隆志

内容

──本日の講演の中で、3K、7Kという話がひがさんからもありましたが、いまデベロッパーは非常に厳しい状況におかれています。しかし敢えてムーブメントを起してこの状況を変えて行こうという意気込みで、皆様にお話をうかがいたいと思います。まず、荒井様から東北の技術者の特性について、そして東北デベロッパーズコミュニティ(以下、TDC)を立ち上げようと思った意図を。

荒井さん

荒井 東北の人間について良く言われるのが「我慢強い」「忍耐強い」「粘り強い」。技術者にとって必要な要素だと思いますが、一方、「鈍い」、感度がちょっとさびれているのではないかという印象もあります。首都圏に既にあるものは別に東北になくてもいいじゃないかと考えてしまう、進取の気性の乏しさも。九州の皆さんの活発さが印象的でしたが、それに比べると、東北はとっつきにくい人たちが多いのではないかと感じています。
コミュニティを立ち上げようと思ったきっかけは、技術者が生き生きと仕事をしていないのではと思われたから。自分らしさ、わくわく感が見えない。これは一社で解決できる問題ではなく、会社の枠を超えて技術者たちを刺激する場が必要だと思いました。刺激を受けて「痛気持ちいい」という感覚、他の人の活動、技術、能力を見て自分もこうなりたい、こういう人がいるんだという「気付き」が重要。会社の枠を超え、自由にのびのびとやってもらえたらと考えています。

──では、コミュニティとしては既に活発に活動している、Rails勉強会@東北を発足させた片平さんに、ご自分でコミュニティを立ち上げた経緯と、そのコミュニティをしながらTDCに参加して期待することなどを。

片平さん

片平 Rails勉強会@東北は、昨年の5月に始まりました。当時私は大学事務職員で、プログラミングは独学、自分のレベルもわからない、IT業界のことも技術のことも詳しくない。勉強会などに出てみたかったのですが、仙台では開催されていない。「なきゃ、つくるか」と考えメーリングリストで呼びかけたのが始まりです。最初は技術の向上や情報収集が目的でしたが、最近は、勉強会の後毎回開催している懇親会がメインといって良いくらい、とても楽しく感じられます。確かにネットを通じても情報収集はできますが、飲み会の場でのFace-to-Faceでしか得られないこともあるし、同じ目的を持った仲間との「飲みニュケーション」の中に情報がころがっている。また、勉強会にはJavaを始め他言語のデベロッパーも多く参加しています。その方々から他言語について、他言語のデベロッパーの考え方について聞き、影響を受け、「気付き」が生まれ、どんどん変わって行く。
TDCの話を聞いた時、色々な技術者の方々に交流の場を与えることによって、自分が感じたこの「気付き」を多くの人にも感じてもらえるんじゃないか、と考えました。

──やはり横のつながりが大事で、それによって「気付き」を持てると良い、というとですね。それでは、コミュニティの大先輩である丸山先生にお話をうかがいます。コミュニティというものをどう考えていらっしゃるか、また東北のコミュニティはどんなものにしていったらよいでしょうか。

丸山先生

丸山 コミュニティはたくさんあっていいと思うんですよ。コミュニティどうしで繋がり合うことがこれから必要になってくると思います。今の世代の先端のムーブメントはIT。ITが世界を変えたり歴史を変えたりする力を潜在的に持っている。そのもっとも典型的な現れとして、情報共有やコミュニケーションのために自然発生的に生まれたものがコミュニティ。これは、他の業界にはない、新しい形の集まり方です。オープンソース、情報共有、コミュニケーションツールなどを活用できる強みがITにはあるんです。
ですから、何も気負う必要はないと思います。自然に、やりたいと思うことをやっていると時代のトップに飛び出すことができる。岸田さんが「飲み会重要」と言ってますけど、僕は大学をやっているので「夜学」と呼んでいます。これが非常に大事。いくらネットが発達しても、Face-to-Faceで話し合うことがコミュニティの基本であり自然なことです。今、SNSなどが盛んですが、これは情報の共有をベースとして、人と人とが繋がりたいという欲求をITの世界が一番身近に感じているということ。ビジネスの世界では、上司と部下、自分とお客様というように、フラットな人間関係が形成されにくい。ところが、コミュニティの中、あるいは「夜学」、飲み会では自然な人間関係ができる。コミュニティが発達する土壌というのはいくらでもあります。あまり地域性や年齢を気にしないで、どんどん新しいエネルギーを吸収して、どんどん輪を広げていけば、東北のコミュニティもきっと活発になると思います。

──今度は、オープンソースソフトウェアの開発者という観点で、全国各地を回られているひが様にお聞きします。東京の技術者と地方の技術者を比べたとき違いがあるのか。そして地方のエンジニアにもっとこうしたほうがいいというメッセージがあれば。

ひがさん

ひが 難しいことですね…どうでしょう?私は東京でも、北海道、九州、大阪など地方各地でも、技術者の方々とお話したり飲みに行ったりしているわけですが、そんなに変わらないと思います。ただし地方のデベロッパーのほうが、情報不足の危機感のようなもの、それから仕事の機会や、方法がこのままで大丈夫なのかという不安感をもっています。一方、先ほど言った3Kや7Kというような状況が一番典型的なのは東京。疲弊していて、悩む暇もない開発者が多い。東京が恵まれていて地方がそうではないということはありません。きっとどんな業界でも、その地域なりの悩みを抱えているのではないでしょうか。

──大きく技術レベルの違いはない?

丸山 ないです。が、ひがさんの講演にあった「ITゼネコン」。これは東京に多く、地方が下請けになっているケースが多い。いろんな意味で地方が窮屈な思いをしています。東京にいろいろな力が集中していることの象徴です。個々の技術者の差はなくとも、地方のIT業界の可能性という点では、東京との関係でいろいろなことをつきつけられているという問題が大きく、違う見方になるのではないかと思います。

ひが まず、学ぶという意味では東京と地方の違いはないと思っています。そういう意味では私は東京とシリコンバレーの違いもないと思っています。世界中の情報はインターネットを通じて即座に手に入ります。違いがあるとすれば、その地域の人としかできない生のコミュニケーション。でもそれ以外の情報の差はない。やる気次第なんじゃないかな。

──エールと受け取りました。東京の持つ重力というのはTDCを立ち上げる際、運営委員でも話し合ったことなんですが、東京を向かないようなムーブメントを東北で興せると、そういったことから抜け出せるんじゃないかと。そこで経済産業省の夏目様、地方はどうしたらこのような状況を打開できるのか、国として話されていることがあればお願いします。

夏目さん

夏目 確かにインターネットの活用で知識レベルの差はないかもしれませんが、それを実現するスキルは実際の経験を必要とします。その経験に地方と東京の差が出てきて、その結果スキルレベルでは差があるのではないか、というのが私どもの認識です。その差をどのように縮め、中小ITベンダーをどう活性化してくか。また東京の仕事が地方に流れてきている今の状況がいつまで続くのか、経済産業省としても危惧しています。今アセスメントを進めている状況です。
経営者の方々の中には、今の下請けの仕事が急になくなる可能性を考え、その時にどうやって経営を維持したらよいのかと、非常に危機意識を持っている方もいらっしゃいます。中小企業の皆さんに安定して仕事をしていただくために、これから政策を進めて、対策を講じていきたいと考えています。

──東京と地方とで、仕事の質が違うということですね。ビジネスモデルを作る側と、それに従い下請けでものを作る側というような構造になってしまうと、地方にとってはあまりいい状況ではないという話であるとお聞きしました。先ほど楽天さんの講演で黒沼様が、東北発で新しいサービスを立ち上げたい、一緒に考えていきませんか、とおっしゃっていました。そういったものに参加するのも一つの方法かもしれませんね。

荒井 ひがさんがおっしゃったとおり、東京と地方の垣根はあまりない。超えられない壁があるわけでもない。先ほど私が「進取の気性」と申しましたが、実はそれが一番乏しいのは経営者ではないか。経営者が阻害要因となっている気がします。このコミュニティでその阻害要員を内側から切り崩すことができたら、面白い。のびる要素はいくらでもあるし、東北に深くこだわる必要はないです。人的にもビジネス的にも、地元に閉じる必要はないと考えています。

──福岡、長崎のコミュニティのお話にもありましたが、新しいものを考えよう、作ろうという動きがコミュニティから生まれています。TDCもそのようなコミュニティにしていくにはどうしたらよいでしょうか。

三海さん

三海 参加者がエンジニアだけだと、ビジネスまで考えるのは困難。いろいろな方に参加してもらって、色々な視点でものを考えられるコミュニティに育って行けば、そこでビジネスを興したり、自治体を動かしたりという力が生まれます。コミュニティで培ったネットワークを使って、さらに大きいビジネスをやっていける可能性もできます。

──コミュニティとビジネスは相関関係があって、うまくやらなければいけないというのを強く感じています。コミュニティはあくまで貢献と扶助、であって、その延長線上に地方を変えて行こうというアイデアが生まれたら、それを伸ばしてビジネスに繋げていく─そんなことができたら、素晴らしいですね。
残念ながら時間となりました。最後に一言ずつ、今日集まっていただいた会場の皆さんにメッセージを。

片平 ビジネスという言葉に身構えてしまう人もいるかもしれないですが、参加しなければ変わりません、まずは参加して、行動する、お互いを知る。これが大事です。
もう一つ重要なことは継続。Rails勉強会@東北は毎月開催を続けています。自分もTDCで勉強会を担当し定期的に開催する予定です。まず参加していただいて、繋がることからはじめていきましょう。

荒井 とにかく、参加する。参加して行動する、あとは感謝するーgive give giveで感謝する。コミュニティをやるときは自分でまず与える、という姿勢の方が実りが多いと思います。

夏目 「つながり力」が重要と考えてます。集団でディスカッションしたりコミュニケーションしたりすることで自分が見えてくる。一人でできないことも複数でまとまればできることもある。今日はコミュニティの重要性を改めて理解しましたし、九州のコミュニティのお話も非常にためになりました。東北でもそれを参考に、活発な活動をしていくことを期待しています。

丸山 地方のコミュニティで中心となっている人が、実は東京で仕事をしている人だというパターンも多い。東京にいる人、地方から東京へ出て行って成果を持ち帰りたいと思っている人、そういった人たちとの地域を超えたつながりがエネルギーを発揮していたりする。情報が流れるだけあって東京の重力には引き寄せられてしまうんですね。ですから地域だけでなく、僕らを含め、東京の人たちとも活発に行き来することが、大事なポイントになるのではないかと思います。

杉山さん

──講演では地域に閉じず、というお話がありましたね。今日来ていただいた講師のみなさん、そして九州のみなさんとは今後とも活発に交流して行きたいと思います。

ひが 先ほどから参加することが重要という話が出ていますので、私もまずは、このコミュニティに参加したいと思います。なにかあったら呼んでください。それから私も「飲み会重要」だと思います。各地方を訪れた時一番話ができて一番本音が聞けてよかったと思うのが飲み会の場です。ぜひ遠慮せずに誘ってください。

三海 私が今感じていることは、自分たちの町を自分たちで変えていけたら、ということ。それがとても面白い。東北でも、他地域のコミュニティと交流して行く中で、自分たちの地域を良くするような活動が生まれたらいいなと思います。

──パネリストの皆さん、ありがとうございました。

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設立総会レポート-2008年2月27日